グループ横串経営管理
複数の生産拠点・販社あるいは研究開発拠点からなるグループ企業において、連結予算管理を適切に機能させるには、「法人」を基本単位とする財務連結思考から自由になるべきです。法人横断的に、営業・製造・R&Dといった機能軸で計画を立案し予実管理するアプローチに切り替えましょう。
会計ビッグバンにより連結中心の企業決算となってから二十年が経過していますが、グループベースで予算編成・実績管理を含めた効果的なマネジメントシステムを確立している企業は未だごく一部です。
基本的な問題として、多くの企業が採用している「連結会計処理」型の管理連結システムが、法人単体のP/L・B/Sをベースとしていることがあります。グループ全体の予算編成や見込みにおいて、グループ各社単体のP/L・B/Sは結果に過ぎません。
予算P/Lが取り纏められる前段階での、機能内・機能間の横串の調整こそ、予算策定の中心です。真のグループ経営を確立するためには、事業及び機能を軸とした「グループ横串経営管理」型の仕組み(システム)を構築していくべきです。
そのためには、各社に分散された事業・機能間の調整・コミュニケーションを支援できる基盤システムが重要です。
「グループ横串経営管理」では、法人格の枠を超えて機能横串で一気通貫の予算を作成し、事後的にそれを配分して法人別の予算を作成します。各社の予算・実績も、仕向地別に親会社と販社の利益を一気通貫で見るというように、法人の財務決算の枠組みを超えた経営管理の仕組みを構築します。
グループ経営管理の大枠は連結ベースですが、それだけでは不十分です。グループに属する各社は、それぞれ、製品特性/地域特性の異なる環境下で事業活動を遂行しています。そうした独自性に配慮した個社管理のシステムも必要です。たとえば、管理科目体系は、グループ全体で定めた大枠である標準科目に従いつつ、各社独自の拡張を施せるべきです。
下図のようなグループ全体での経営管理システムの見取り図をイメージした上で、管理連結を含む全体視点の経営管理と各社視点の経営管理を調和させる「グループ横軸経営管理システム」を、段階的に確立していくことが重要です。