現場力を喚起し、経営管理のメタボを解消する ── 株式会社フュージョンズ

経営管理/管理会計は、本来、各企業の事業特性を踏まえ、
それぞれに異なってしかるべきものです。
その点について十分に考慮されていない財務会計志向のシステムでは、
経営管理/管理会計のニーズにうまく応えられません。

マネジメント層

多くの企業で、管理会計は経営者のニーズに応えていません。現代の管理会計は財務会計に引きずられ過ぎ、経営者にとってわかりにくいものになっています。収益の繰り延べ、費用の資産化、人が働くという点では同じなのに、ある人の給与は販管費、別の人は売上原価となるなど、財務会計の縛りに合わせるために会計は複雑化しています。財務報告との調和は必要ですが、企業の舵を適切にとっていくためには、事業内容に適合した管理会計の仕組みを確立することが重要です。

① 予算の集計に時間が掛かりすぎ。施策検討にもっと時間を割きたいのに…
従来型会計システムは、確定した予算を登録することは出来ても、予算編成のプロセスそのものを支援することができません。
予算収集だけでなく、組織レベルに応じた承認、各部署での予算検討などを支援する仕組みが必要です。

 

② 期末着地が直前までわからない。経費を絞るべきなのか、使うべきなのか…
従来、管理会計では、「月次決算」といって、売上高や利益数値の実績を、毎月、財務決算と同じ基準で確定することが重視されて来ました。しかし、財務決算では、売上や費用の期ずらしなどを含む様々な会計技術的調整がなされます。これらは事業に携わる方々には非常に分かりにくいものとなり得ます。

 

生の実績値を月次で確定することは大事ですが、期末と同じような決算を毎月行うことよりも、期末の決算予測をタイムリーに行う方向に切り替えていくべきです。

③ 経理の報告するP/Lと事業の実感がどうも結びつかない…
これも会計の仕組みが財務会計に引きずられていることの弊害です。

 

BIツールで売上高を商品別や顧客セグメント別に分析するだけでなく、異なる収益源(製品とサービスなど)からの売上それぞれについて、ストック収益と積み増しを区分する、あるいは、受注と売上計上の関係を追跡するなど、適切な視点からの分析を加え、事業活動と会計数値の関係性を可視化していくことが重要です。費用についても、財務会計とは違った視点で把握する必要があるでしょう(なぜ10万円のPCは費用で、30万円のサーバーは資産なのでしょう)。

会計外の経営情報と会計情報を統合するインフラの上で、経営報告を再設計していくことが望まれます。

④ 全社員に売上や費用を意識させるにはどうすれば…
メンバーの自律性と利益意識/コスト意識の醸成は経営にとって重要なテーマです。

 

このためには、権限移譲や適切なKPI(重要成果指標)の設定などが必要ですが、それとともに、アメーバ経営の「採算表」のような各部署の成績表にリンクした形での実績データの提供が重要です。

ERPを導入した多くの企業では、ライセンスの高額さのゆえに、現場部署には検索画面も開放されていません。開放されていても、売上・利益との結びつきが分かりにくい形で生データが提供されているケースも多々あります。

経営制度の整備とともに、こうした基礎的な問題に対応していくことも必要ではないでしょうか。

こうした仕組みづくりは一朝一夕に完了するものではありません。実施して改善するという繰り返しが必要です。

膨大な初期コストをかけてシステム構築し、あとはメンテナンスだけという従来型システム開発とは異なる取り組みとなります。

fusion_place は、単なるエクセル収集ツールではなく、そうした取り組みの基盤として長くお使い頂ける情報基盤です。

経理/企画部門

経理/企画部門は、経営の羅針盤となることを望まれていますが。現実には、各部門とのエクセルシートのやり取りに忙殺され、データ処理部門と化しています。

① 予算集計や実績管理の業務が不効率。スピードが遅い。一部の人に集中(属人化)…
予算管理・管理会計分野では、ニーズにフィットしたシステムが無い状況が長く続いた結果、エクセルがほぼ唯一のツールとして使われるようになりました。しかし、エクセルは、データの表示や分析には向いていても、多量のデータを組織的に管理する目的には向いていません。

 

このため、フュージョンズが「エクセルメタボ」と呼ぶ状況が蔓延しています。

② 予算の提出し直しで、変更箇所の確認が大変…
予算編成・見通し管理では、差分の把握が極めて重要です。

 

しかし、会計システムをベースに発展してきたERPには差分把握に必要な仕組みがありません。

経営管理のニーズを踏まえて白紙から設計されたツールである fusion_place には、差分把握のための仕組みが基本機能として組み込まれています。

③ 現場部署から予算を直接集めているので、本部長レベルの認識が希薄…
これは、中堅企業でありがちな問題です。

 

予算集計のスピードを優先するために、経理/企画部門は、現場の各部署から直接、予算を集めます。結果として、本部長が予算に目を通すのは事後ということになります。現場から経理に提出する際に本部長にCCするようにルール化したとしても、状況は大して変わりません。本部長にとっては、個々の部署の予算に目を通しただけで、本部全体の予算状況はわからないからです。

必要なのは、単なるワークフローではなく、本部長や事業主管部署に分析力を提供するワークフローです。

④ 連結ベースでの為替影響を報告せよと言われるけれど…
海外子会社からの計画/実績データをエクセルで集約している場合、為替影響を計算するには、数多くのシートの換算レートを変更して再計算し、変更前のシートと比較してチェックしなければなりません。

 

連結システムなどを使っていても、レートを変更するとデータが洗い替えられ、以前の換算結果との比較が困難になります。また、パターンごとに換算処理を実行するため時間が掛かり、現実的には、気軽にレート変更できない場合も多いのです。

fusion_placeなら、予算レート換算・実績レート換算など複数パターンの換算を一括実行し、その結果を保持して比較することも簡単です。

⑤ BIや予算編成ツールを導入したが、レスポンスが悪く、業務に支障をきたしている…
多くのツールはリレーショナルデータベース(RDB)を核に用いています。RDBは、特定のキー順の検索には向いていますが、複数のキーそれぞれが階層構造を持ち、その組み合わせで集計する、いわゆる多次元集計には向いていません。

 

また、そうした分野に特化して設計された「多次元データベース」の中には、アーキテクチャが古く、今日のCPUパワーやメモリー容量を十分に生かしていないものがあります。

fusion_placeは、こうした点に配慮した独自のオンメモリ・リアルタイム多次元集計エンジンを搭載しており、非常に高速に動作します。

事業統括部門

事業が異なれば、採算管理のポイントもKPIも異なります。しかし、経理/企画部門中心で構築された全社管理会計システムは、事業独特の経営管理ニーズに的確に応えていません。

① 実績数値の中身は、経理に問い合わせなければわからない…
費用や売上の実績の内容を現場部門はよく知らないという組織は少なくありません。

 

  • 伝票明細単位での実績データが現場にフィードバックされていない。
  • 自部署の負担費用を他部署が入力する「費用の付替」が多い。
  • 経理部門側で管理会計用に費用計上額を修正しているがその内容がわからない。
  • ERPや財務会計システムでの実績データには管理項目が不足していてそのままでは実績管理に使えない。
  • 売上データ・経費データなど個々には提供されているが、自部門のP/Lや経費実績とどう結びつくのかわかりにくい、等。

こうした問題に対して、ERPなどが保持している財務会計数値をBIツールなどで現場部門に提供するだけでは不十分です。管理会計数値は財務会計システムだけでなく、その他の業務システムからのデータをもとに、独自の組み替えや加工を経て作られるからです。

fusion_place ならば、様々なシステムからデータを取り込み、コードを変換して統合し、さらに加工後の管理会計数値から加工前の元データまでドリルダウンで遡及可能な管理会計システムを構築することが可能です。

② 部門内の管理資料から経理提出用資料への転記が多い…
経理に提出するより細かい予算や見通しの資料を部門内で作成/管理しているケースは少なくありません。そうした場合、例えば予算編成などの過程で元資料の数字を修正すると、その都度、経理提出用資料も変更しなければなりません。

 

fusion_placeのエクセル連携機能(Excel-Link)を用いれば、部署内管理用のエクセルシートからfusion_placeのデータベースにダイレクトに値を反映することが可能です。反映のための設定は、各部署の担当者が変更でき、データベースに反映された値は、経理提出用のフォーマット(エクセル又はfusion_placeの独自画面)でも確認できます。

部門管理資料と経理提出用資料でコード体系が異なるため集約が必要といった場合には、部門管理資料のデータをCSVファイルに保存した上で、fusion_placeにインポートすることも可能です。この場合、各部門の担当者が設定可能なコード変換テーブルを用いて部門ローカルコードを経理用コードに変換し、さらには、変換後のコード単位でデータを集約してインポートすることが出来ます。

③ 事業部固有の管理会計を実現したいが、会計システムは経理要件にしか対応していない…
事業部にはそれぞれの事業特性があり、経営管理ニーズがあります。物販中心の事業、人的サービス中心の事業、デジタルサービス事業など、それぞれ管理特性は異なります。それに対して、全社共通の会計システムで応えるのは困難です。

 

fusion_placeは、導入や運用がライトなことを特徴としており、事業部門単位でもご活用頂けます。それをさらに進めて、全社システムと連携させながら複数の事業部門でfusion_placeをご利用頂いている事例もございます。そうした場合、各事業部門独自の要件に対応できる一方で、fusion_placeの活用スキルを全社で蓄積・活用頂けます。どの事業部門でもエクセルのスキルが役立つのと同様です。

実績中心の会計から脱却し、予測志向・未来志向を強めていくにつれ、個別事業の特性を踏まえた管理会計システムの必要性はさらに増してきます。管理会計の最前線は事業部門です。管理会計システムが経理部門だけのものであった時代は、すでに過去になりつつあります。

④ 結局、BIツールのデータをエクセルに貼り付けて資料を作成している…
美麗なグラフ機能などをアピールしているBIツールは多々ありますが、経営報告資料のような、グラフ・数表・コメントなどの組み合わせによるドキュメントを作成しようとすると力不足です。結局、BIツールのデータをエクセルに貼り付けることになります。

 

fusion_placeは、経営管理業務におけるこうしたニーズに寄り添ったエクセル連携ツールとして「Excel-Link」を提供しています。Excel-Link を用いれば、エクセルシートの任意のセルに fusion_placeのデータを貼り付けることができ、それをもとにグラフなども作成できます。また、予算シートなどからfusion_placeにデータを投入するのも同様に簡単です。

Excel-Link は、経営管理資料作成にフォーカスしたRPA[1]ツールとお考え頂くことができます。ただし、汎用RPAツールよりはるかに簡単な設定で利用頂け、シートの行や列を挿入・削除した場合に追随して設定情報が修正されるなど、フォーカスを絞っているからこそ可能な高度な機能を備えています。

[1] RPA: Robotic Process Automation