基本コンセプト:情報系基幹システム
企業の情報システムは、伝統的に、基幹系/情報系という二分法で捉えられ、前者は堅牢に設計/開発されるのに対し、後者には表計算など使い勝手のよいエンドユーザー向けツールが用いられてきました。
予算管理/管理会計など経営管理に関する業務領域では、企業規模や事業の変化に適応するために、ユーザー自身がシステムを改変/成長させていく自由度が必要です。とはいえ、経営管理システムも業務システムであって、一定の堅牢さを必要としてもいます。従来型の「情報系」概念はこの点を見落としていたために、こうした領域は、エクセルのジャングル、弊社がいうエクセルメタボに陥りました。
これに対処するために、従来型の「堅牢な基幹系」に回帰するのは不適切です。ユーザー主導でシステムを成長させていくための自由度が失われてしまうからです。
経営管理領域は、基幹系/情報系という二分法ではうまく対応できない独特のニーズを提起しています。これに対応する新しいシステム概念が「情報系基幹システム」です。
伝統的システムの分類 - 基幹系 / 情報系
企業の情報処理システムは「基幹系システム」と「情報系システム」に分類できるという見方があります。
基幹系システム | 情報系システム |
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※ 名称は「業務名」システム |
※ 「業務名」ではなく「ツール名」 |
- 銀行業界での勘定系システムと情報系システムの分類に由来。
- 当初はハードウェアが異っていた。基幹系は大型コンピュータ(ホスト)やオフコン、情報系はパソコン(オープン系)。
基幹系 / 情報系 それぞれの歴史
企業の情報システムは、初期は基幹系システムだけでした。
事業取引の効率化、すなわち取引帳簿を電子化することからシステム化が始まったからです。基幹システムには以下のような特性があります。
- 受注、製造、出荷、検収などの業務手続と対応 → 手順通りの運用しか許さない
- 最後は会計(金勘定)につながる → 誤り、改竄を許さない
- ワークステーションやPCの普及とともに、個人業務の効率化が始まりました。
ワープロに始まり、Excelに代表される表計算、CADなどの利用です。 - ネットワークが普及すると、グループでの共同作業も効率化が進みます。
メール、ファイルサーバーなど、 Intranet/Internetツールなどの活用です。 - グループウェア、BIツールなど、ネットワーク、共同作業を前提としたシステムも登場しました。
システム化ニーズの多様化
既成の枠組みの限界
既成概念では、分類は二つであり、どちらかの範疇のシステムと捉えて対応するしかありませんが、ベストな策になるとは限りません。
基幹系システムとして作り込む | 情報系システムで対応する |
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新たな分類「情報系基幹システム」
基幹系でもなく、情報系でもない新たな概念「情報系基幹システム」を提唱します。
会社全体、または各部署に散在する大小様々な業務を効率化する、ライトかつ堅牢な基幹システムのことを指します。
基幹系システム | 情報系基幹システム | 情報系システム |
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「情報系基幹システム」構築基盤の必要性
それぞれの分類に適合した費用対効果のシステム基盤を採用すべきです。
fusion_placeは情報系基幹システムをExcelレベルの気軽さで作ることを可能にするシステム基盤です。
基幹系システム構築基盤 | 情報系基幹システム構築基盤 | 情報系システムExcel・BI |
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組込み済の固定画面 | ユーザがレイアウト自由な固定画面 ユーザが設定可能な業務手順 |
レイアウト自由な画面 |
組込み済の業務手順 | 業務手順の組込み困難 | |
組込み済の定型レポート、 定型分析レポート |
Excel、BI同等の多軸集計 自由分析、定型レポート作成 |
集計、自由分析可能 アドホックレポート中心 |
大量データの一元管理 | 大量データの一元管理 高速な集計、分析 |
集計、分析可。 容量、レスポンスに制約あり |
固定的 |
自由的 |
情報系基幹システムのユースケース
管理会計領域でも、ニーズの高度化に伴って、ExcelやBIツールではなく情報系基幹システムの考え方に即したソリューションが望まれるユースケースが増えてきています。
トランザクションベースド・ プランニング |
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グループ経営管理 |
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統合管理会計データベース |
(例:事業部門の要約P/L → 売上高(商品別、顧客別)、経費(分野別、テーマ別)→ 伝票明細照会、など) |
これからのフュージョンズ
情報系基幹システムのコンセプトを定着すべく、活動を展開してまいります。
- ユースケースのご提案
- 旧来型のソリューションでは実現が難しく、妥協を強いられてきた業務シーンの在り方を見直していただくため、情報系基幹システムの考え方に即したユースケースと、これに対するソリューションをご提案して参ります。具体的には前掲の「トランザクションベースド・プランニング」などが挙げられます。
- デモンストレーション、教育マテリアルの整備
- 情報系基幹システムのコンセプトおよびユースケースへの適用イメージが具体的に明らかになるような、デモンストレーション用 アプリケーションや資料を整備し、公開して参ります。
- 製品開発への反映
- fusion_placeはすでに情報系基幹システムのコンセプトに合致しておりますが、大規模ユースに向けたハイパフォーマンスな製品系列の展開や、ユースケースへの適用に向けた機能開発などを進めて参ります。
- お客様、パートナー様との対話
- 情報系基幹システムについて、お客様、パートナー様との意見交換を通じて、コンセプトをブラッシュアップし、真にお客様のご要望に即したソリューションのご提案を目指してまいります。