東急株式会社 様
グループ全体100社超・2万ユーザー超でのご利用事例
東急株式会社様(以下、東急様)は、公共交通機関と都市開発を軸とし、公共性と事業性を両立させた「まちづくり」を推進し、人々や豊かさや人生の充実といった、時代の移り変わりとともに変化する生活者の皆様に寄り添い、新たな生活サービスやライフスタイルをご提案しながら、エリア価値の継続的な向上に取り組んでおられます。
東急様では、管理会計システム基盤として fusion_place を適用した共通会計システムを100社を超えるグループ会社に導入し、2022年7月より本格運用開始されました。
2016年からスタートした大規模・長期間プロジェクトについて、お伺いしました。
お話しを伺った方
財務戦略室
経理マネジメントグループ
課長
島田 龍之 様
財務戦略室
経理マネジメントグループ
主査
河本 聖太 様
財務戦略室
経理マネジメントグループ
主事
藤曲 高穂 様
【ポイント】
・グループ共通会計システムの予算管理領域に fusion_place を採用
・グループ全体100社超、2万人超のユーザーが利用
・ひとつのシステム基盤でサマリから各社の伝票明細まで照会可能
・多様な業種特性を尊重した予算管理システムを構築
インタビュー
━ 導入の背景・更新前のシステムでの課題についてお聞かせください
島田様
導入前は100社を超えるグループが独自に構築したシステムを利用していたため、各社のデータを本社で見ることができず、システム統合の必要性を感じていました。2016年に東急グループ全体で「連結経理体制強化プロジェクト」を立ち上げ、会計システム全般の入れ替えの検討を開始しました。
単にシステム刷新するのではなく、連結経理体制を盤石にしていくために、品質底上げ、グループ内での経理人材の流動化、より経営に資する活躍をしてもらうための施策と位置づけ、fusion_place を中心とした予算管理システムの統合を進めました。
━ fusion_place を選定された理由を教えてください
島田様
グループ標準システムとして、財務会計部分にBiz∫※1、予算管理部分に fusion_place を適用し、組み合わせる形を採用しました。
当社では、生活者の皆様の目線でサービス・事業を展開しており、業種が多岐にわたります。そのため、予算管理について、各社で管理したい粒度や項目が異なり、単一業種の一気通貫業務を前提としたシステムでは対応できません。
そこで、当社の予算管理システムには業種の特性を受けとめることのできる柔軟性や将来的な拡張性が必要と考え、fusion_place を選定しました。
※1 株式会社NTTデータ・ビズインテグラルが販売するERPパッケージソフトウェア「Biz∫(ビズインテグラル)」
━ プロジェクトの概要および体制についてお聞かせください
河本様
2016年よりプロジェクトを開始し、最初の1年でグループ共通会計システムとして Biz∫ を含めた開発、パイロット導入を行い、その後、毎年20社ずつ展開し、2022年7月に全グループ会社への導入を完了しました。
東急メンバーの他、経理業務のプロである 東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社や主要グループ会社のメンバーが参画しグループ一丸となった体制を採り、東急側メンバーがグループ会社との窓口となって、導入担当の株式会社NTTデータ様と連携する形で進めました。
━ グループ会社への展開スケジュールはどのように決められたのですか
河本様
展開スケジュールは、システム更新期限やロケーション、会社規模等によりグルーピングし決定しました。その結果、最後に東急と東急電鉄株式会社に導入しました。
様々な展開方法があると思いますが、複雑な要件に対応できることを確認しながら展開を進め、最後に蓄積したノウハウを投入できたのはよかったと思います。
━ 長期間・大規模プロジェクトでしたが、苦労された点はございますか
河本様
プロジェクトの開始前にトップマネジメントよりグループ各社に向けてメッセージを伝えたこと、プロジェクト内でも各社経理に向けて説明会を実施したことにより、各社の協力を得ることができました。2万ユーザーへの展開も、プロジェクトから各社経理へ、各社経理から各社ユーザーへと、ピラミッド構造で円滑に進めることができました。
苦労したのは、業種や規模が多岐にわたるなかで、予算管理業務をどのように標準化し、共通基盤として提供していくかの落としどころです。まだベースができた段階なので、今後、各社の期待に添った形に標準帳票などを見直していきたいと考えています。
藤曲様
グループ各社の Biz∫ の財務会計データ※2 とマスターデータを、fusion_place に自動連携しています。
データ量が多いことを懸念し、稼働状況の分析をしつつ展開を進めていたのですが、導入会社が100社を超えたあたりから、夜間処理が完了しない可能性が判明し、更新頻度の低いマスターは必要なタイミングでの手動連携に切り替え、運用で対応しました。
しかしながら、最後に規模の大きい東急及び東急電鉄株式会社への導入が控えていたので、対応に苦慮しましたが、当社要望を踏まえた、「fusion_place エクストリーム※3」によりパフォーマンスが改善され、全グループ会社への展開が可能になりました。
※2 会計データ(実績)は、主要5社だけで毎月100万レコード以上(1レコード50項目以上)の伝票および残高データを連携されています。
※3 「fusion_place エクストリーム」は、各社の自律的経営管理を許容する標準化機能と高度な並列処理を備え、大規模・グローバルでのグループ経営管理を支えます。
━ 多岐にわたる業種特性への対応について教えてください
河本様
業種特性も尊重する形で標準化を進めました。例えば、勘定科目コード体系はグループ標準ルールに基づいて、各社固有の勘定科目体系を定義・設定しています。また、グループ各社独自の分析軸を保持できるよう拡張可能な形で標準化しているので、各社のニーズによって追加・変更可能です。今後、各社で自社の経営管理システムとして育てていけるよう進めていきたいと考えています。
標準化以外にも、一部の会社についてはカスタム設定もしています。例えばホテル事業では、財務データの他、フロントシステムのデータを連携し、ADR(客室平均単価)など、ホテル業特有の非財務情報も保持しています。
━ 運用やメンテナンスで工夫されていることをお聞かせください
藤曲様
利用会社からの問い合わせやメンテナンス依頼は、東急ファイナンスアンドアカウンティング株式会社が窓口になり、一元対応するとともに、日々の問合せを経理のポータルサイトで公開し、なるべく自力で解決できる仕組みづくりをしています。
その他、2万ユーザーが利用しているため、ユーザーの変更や権限の変更が頻繁に起こるので、定期的にグループ各社にユーザー情報を RPA を使って手間のかからない形で情報提供しています。
━ 更新前のシステムと比較して、良くなった点を教えてください
河本様
親会社としては、各社の予算実績情報が fusion_place に一元化され、リアルタイムでサマリから明細まで、自ら見ることができるようになり、今までの財務会計の連結ベースの集計された結果を3か月毎に報告を受けていた状況と比べ、粒度・頻度ともに向上しました。
また、Excel-Link(Excel連携機能)も使いやすく、東急では、システム部門に依頼することなく、様々な帳票も、どんどん作っています。これをグループ全体に広げていきたいと考えています。
━ 今後、改善したい点、実現したいことがあれば教えてください
島田様
経営情報を、fusion_place に一元的に集約し全社の予算管理ができるというところまでは整いましたが、各社のシステムとしていかに成長させるかが今後の課題です。
fusion_place を、ルールによりかっちりとした財務情報と、分析の視点が毎回変わるなどふわっとした部分のある予算情報が落ちあえる場所として活用していきたいと考えています。財務情報と予算情報が分離することなく、各社の特性に応じた使い方が fusion_place でできるようになれば、グループ会社側にとっても大きなメリットです。
親会社側とグループ会社の両者で、fusion_place のポテンシャルをフルに活かしていきたいと思います。